『お客様は神様』
飲食店のようなサービス業では昔からこんな事が言われてきました。
もちろん、今でもその精神はあるでしょうし、お客さんあっての飲食店ですから、お客さんを大切にする気持ちは大事です。
しかし、近年は飲食店側の気持ちではなく、お客側がお金払ってるのだからお前らサービスしろよ、お客は神様だろ的な振る舞いをするケースが多く見受けられます。
飲食業界を20年以上見て来た私としては、飲食業界が個人店からチェーン店に移り変わっていった時からお客にも変化があったような気がしています。
20年前の飲食店はお店に主導権があった
今の飲食店しかしらない若い世代の方はびっくりするような話でしょうが、ひと昔前は、飲食店がルールでした。お客がわがまま言うなんてありえない、、全てはお店次第、お客の方から帰り際ありがとうねって言われるような時代でした。
中には、店主が気にいらない客は追い出すなんて強気な店もあったり、飲食店が常に主導権を握っていました。でも、それに怒り出す客はいないのです。なぜなら飲食店はお客を大事にしていますし、お客様は神様の精神でやっていますから、お客との関係も良好で、お店はいい意味で活気があり雰囲気のいい店が多かったのです。
今も昔もお客を大事にしているのに、何故ここまでお客の質が落ち、お客とのトラブルが絶えない時代になってしまったのでしょうか?
チェーン店の乱立と低価格戦争
最大原因が低価格飲食チェーンの乱立です。
店舗数をとにかく増やし、原価を下げ人件費を下げ、長時間営業で薄利多売を追求した低価格チェーンが出て来た事により、こんな安く食べれるの?飲めるの?と飲食店利用者は一気にチェーン店へと流れていきました。もちろん景気の影響もあるでしょう、しかし、これまで培ってきた飲食店とお客の関係は一気に崩れる事となりました。
何故か?
お客は個人店の時のような人と人ではなく飲食店を価格で見るようになりました。それも当たり前です、低価格を実現する為には社員ではなくアルバイトで運営するしかないのですから。
毎日シフトで誰が店にいるか分からない飲食店を選ぶ理由は価格と雰囲気くらいなものです。
今の飲食店の問題点
今はどの飲食店も少なからずお客とのトラブルに悩まされている事でしょう。
飲食店の価格が下がった事で若い人でも気軽に入れるようになり、そして飲食店はお客の要望には全力で答えるというスタイルが定着した為、本来は飲食店側の「お客様は神様」という精神が、お客側が「お客様は神様」の精神になってしまったのです。
これは飲食店にとって本当にマイナスな事です。
予約を取っても、連絡もいれずドタキャンする。若い世代ならまだしも、いい大人、それなりの企業に勤めている人でも平気でバックレます。
出したものに平気で文句を言う。中には味付けまで注文を付けてくる人もいます。席が気に食わないから席を変えろ。こんなのももう日常です。
飲食店がお客様のご希望通りに致します精神になってしまったが為に、お客側の横暴がもはや止められる状況ではありません。
そして近年のバカッター騒ぎ、被害に遭っているのはほぼ飲食店です。もはや飲食店は学生にさえ舐められいるのです。
飲食店は変わるべき
散々、飲食店の低価格化は飲食業界の寿命を縮めるだけだと言ってきました。
しかし未だに飲食業界は低価格戦争を続けています。しかも飲食店側にマイナスな事ばかり受け入れている状況です。経営者は利益が上がってくればいい話ですが従業員は違います。未来があります。低賃金、長時間労働に加えお客対応の苦労を考えたら、今の飲食業界は変わるしかないです。
2020年、飲食店が主導権を持つ。そんな世の中に変えていくべきではないでしょうか?