季節も暖かくなり、外で食事をする機会も増える時期になってきました。
そしてこの時期の飲食店に関係するニュースはほぼ食中毒に関係するニュースばかりになりますよね。
「レストランで食事をしたお客が次の日体調を崩した」「居酒屋であるメニューを食べたものが病院に搬送された」「野外イベントで出店しているお店の〇〇を食べた人が次々と体調不良を訴えた」などなど、この時期の飲食店はお店側はもちろん、利用する客側もデリケートにならなければいけないと言ってもいいでしょう。(冬も色々と危険なんですけどね)
飲食店で起こる食中毒とは?
飲食店では食中毒を引き起こしてしまう危険が常にあります。どれだけ清掃が行き届いていても、それは起きてしまうものなのです。
ニュースになるような命に係わる重大な事ばかりニュースで取りだ出されますが、営業停止になるような食中毒は毎日のように起きているのです。
日本で起きる食中毒の8割以上が飲食店のような外食で起きているというのですからね。
まず、、飲食店を利用する上で注意しなければいけない食中毒をいくつかご紹介しましょう。
ノロウィルス
食中毒の中でも、全体の半数を占め、飲食店のような外食での発生が7割にも及ぶ飲食店においては天敵とも言えるウイルスです。
- 流行期間は11月~1月と冬に多いのが特徴ですが、一年中患者は出ているので夏だから安心という訳ではありません。
- 牡蠣、魚介類からの感染のイメージが強いですが、その強い感染力からどの食材でも感染の危険があり、人の手指、調理器具からも感染する非常に危険なウイルスといえます。
- 主な症状は嘔吐、下痢、腹痛となり、小さい子供やお年寄りが感染すると命の危険もある非常に怖い食中毒です。
対策としては、食材は中心まで火を通す、器具等の加熱消毒、付け置き消毒、清掃の徹底など当たり前の事を当たり前にやる事しかないのが現状です。
カンピロバクター
近年、非常に騒がれ始めた細菌性食中毒「カンピロバクター」
- 主に加熱不十分な鶏肉から感染すると言われています。また鶏肉の調理過程で他の食材への二次感染も報告されています。夏のバーベキューや野外でのケータリング、鶏料理店での発症が多くなっています。
- 主な症状は下痢、発熱、嘔吐で潜伏期間が2~3日という事もあり、風邪と間違ってしまう事もあるようですが、まれに重症となってしまう場合もあるので注意が必要です。
対策としては、鶏肉の生食は控える!これに尽きます。豚肉はダメだけど鶏肉は平気なんて思っている方も多いと思いますが、鶏肉もしっかり加熱しなければいけません。
腸管出血性大腸菌O-157
これも一般の方にも広く知られている食中毒ですね。
- 主に動物の腸内に生息し、汚染された食材、加工品、飲料水から感染します。また人から人への二次感染も多い食中毒です。
- 主な症状は下痢、腹痛、血便、発熱で、抵抗力の弱い子供やお年寄りが感染してしまうと尿毒症や脳症などの合併症を引き起こすこともあるので、非常に危険な食中毒といえます。
対策としては、全ての食中毒に共通していますが、手洗い、加熱処理の徹底に尽きます。中心部を75度で1分というのが目安とされています(O-157の名前を逆から読むと覚えやすい)
まだまだ、サルモネラ菌、腸炎ビブリオ、ブドウ球菌など飲食店に関わる食中毒はたくさんあります。ただそれら全てに共通するのは、衛生管理というものを、従業員全員が熟知し徹底する事で発生を最小限に抑える事が出来るという事を忘れてはいけません。
飲食店での食中毒が多い訳
いくら多くの人に料理を提供しているからといって、毎日ご家庭で食事をされている人の方が多いですから、プロであるはずの飲食店で食中毒を出す事は普通許される事ではありません。
しかし現在の飲食店の経営方法は調理場にプロが必ずしもいるとは限りません。
全ての料理をアルバイトが作っている、そんなのはもはやこの業界では当たり前の事です。もちろん衛生管理についても各社マニュアルはしっかり作ってあるでしょう。でも所詮アルバイトです。口に入れるものを提供しているという責任をしっかり感じて料理をしている者はそう多くはないでしょう。
私の飲食仲間から聞いた話で、ある大手チェーンの調理場で働くアルバイトが刺身を切っている途中にトイレに行きたくなり、トイレに行って手も洗わず刺身をまた切り始めたなんて話も聞いた事があります。
近年の安さ安さの飲食店の流れ、扱う食材も妥協しなければならない飲食店も少なくないですし、それに加えて衛生管理を甘く考えている従業員がいては防げるはずの食中毒も防ぐ事は出来ませんよね。
そして、お客側もしっかりそこは見極めなければならないと私は思います。ここは安いから、なんて安さだけでお店を選ぶと後で辛い思いをするかもしれません。安さには色々と秘密があるのですから。