飲食業界に20年以上も身を置いている中で、これまで様々なトラブルに遭遇してきました。
今回は自身で経験したもの、飲食仲間が経験したもの、ニュースを飾ってしまった事件まで、アルバイトにまつわる事件簿をいくつかご紹介したいと思います。
アルバイトを扱っていない飲食店はほぼ無いでしょうから、自分の店を守る予防の意味を込めて是非ご覧下さい。
事件簿その1 SNSによる悪ふざけ投稿
20年前では考えもしなかった「Twitter」によるこの騒動。おバカ投稿、またの名をバカッターなんて面白ろおかしく報道をするもんだから、次から次へと出る出る・・・現在のネット社会を象徴するような出来事でした。そして時代はTwitterからInstagramへ・・・
・調理しながらつまみ食い、それを撮影→投稿→御用
・業務用冷蔵庫に入って撮影→投稿→御用
・魚をゴミ箱へそして拾ってまな板へその様子を撮影→投稿→特定→御用
などなど・・・
飲食店チェーンが安さを追求した事によって飲食店のほとんどがアルバイト運営になりました。こういう事が店舗で日常茶飯事に行われている事はアルバイトに任せている現在、想定していなければならないのに、世間に拡散されてから対処する。恥ずかしい事です。
ちなみに、SNSで拡散された店舗には行きたくないなんて思っている消費者の皆様。その行為を撮影し、投稿するなんて者はごく一部の人間です。日本中のアルバイト運営している店では同じような事が毎日のように起きています。
この騒動があった時に飲食関係者じゃない人は、こんな不衛生な事して信じられないと思ったはずです。ですが、飲食関係者はそれを映して投稿するかね?と思ったのです。ですので、対策案が営業中のスマホ禁止とかそんな事しか出来ないのです。アルバイトの管理をする社員を増やすなんて事は薄利多売のチェーン店には出来ないのですから。
これらの事を考えると、日本で起きる食中毒の半数以上が飲食店で起きているというのも納得出来る話ですよね。
事件簿その2 レジ金横領事件
さて、二つ目の事件簿は、レジ金横領事件です。
今でこそレジスターはポスレジやiPad、iPhone使ったレジが主流になりましたが、かつては紙が出るだけのレジを使っているのは当たり前でした。
そうなるとレジ打ちの天下です。いくらでも誤魔化せますから飲食店は散々な目に合ったものです。
私の昔勤めていた店では、毎日前日の売り上げを本社の人間が取りにくるシステムになっていたのですが、その本社の人間が毎日売り上げの一部をポッケに入れていたなんて事件もありました。
現在は全てデータが残っており、さらには店舗では改ざん出来ないように設定しているところも多いので一見大丈夫のように思いますが、それでも被害は後を絶ちません。
知り合いの店では週末に入っていたアルバイトにレジから全てのお金を盗まれたそうです。もちろん気が付いた時には電話も不通、履歴書の住所もデタラメ。入れ替わりの激しいアルバイト管理の難しさを痛感していました。
現在では、飲食店のレジの上には防犯カメラを設置している店が多くなりましたが、あれは、お客の事を映してるのではありません。従業員がお金を盗まないかを映しているのです。
そこにカメラを付けなければならない事が残念ですよね。
事件簿その3 顧客情報の漏洩
続いては顧客情報の漏洩です。
飲食店で働いていると著名人、有名人が来店する事があります。舞い上がってしまう気持ちも分からなくはありませんが、友達に「〇〇さんが彼氏と来たよ」「〇〇がキャバ嬢と来たよ」なんて言い出してしまうとこれは問題です。中には来店中にSNSで実況中継する人間まで出て来てしまうんですから、もうお手上げです。
プライベートの時間を楽しみに来ているのにお店の店員に写真週刊誌まがいの事をされたら、お店の信用はガタ落ち。もう信用を取り返す事は出来ないでしょう。
昔、私の働いていた店でこんなトラブルがありました。
デートに使えるようなおしゃれな居酒屋だったのですが、年配の常連さんが二夜続けて来店したのです。しかし、相方の女性は昨日とは違う女性。スタッフは客のアイコンタクトもあり状況を察しました。
しかし、、、アルバイト店員の一人が空気も読まず「連ちゃんですね。連日ありがとうございます」と声を掛けたのです。
他のスタッフが凍り付いたのはいうまでもないでしょう。
その後はお察しの通り、「昨日も来たの?」「誰と来た訳?」と言葉の雨が降り注ぎ・・・その常連さんにはそれ以来会っていません。
事件簿その4 アルバイト同士の喧嘩・お客との喧嘩
喧嘩。。。これもまた多いですね。
飲食店のピークタイムの忙しさは経験者しか分からないでしょうが本当に死ぬほど忙しいです。従業員もピリピリ、期限が悪くなるスタッフも出てきます。そうなると出てくる言葉も強くなり、厨房で殴り合いが始まる・・・こんな光景を見たのは一度だけじゃありません。中には冷蔵庫を殴って手首を骨折した従業員もいましたから。
ただ、これは従業員にゆとりを持たせられないお店の問題でもありますから、一概にアルバイトが悪いとは私は思いません。薄利多売を止め、しっかりお客からお金を取るのが飲食店の当たり前となれば、従業員の人数も増やせ、気持ちのいい仕事が出来ると思っているからです。
さて、お次はお客との喧嘩ですが、これはいただけませんね。
ちなみに私は、「お客様は神様です」とは一切思っていないです。お客だから何してもいい。何言っても言い訳ありませんから。ただ、お客の対応については20年培ってきたものがありますから基本大丈夫です。全て右から左へ受け流す事が出来ます。
しかし、若いアルバイトともなると経験もないですし、そうもいかない事があるんですよね。とにかくめんどくさい客、クレームを言う事が生きがいのクレーマー、酒の入った客。基本、酔っ払いはどの人でもたちが悪いです。そんな人とトラブルになったらすぐ社員を呼ぶか、警察へ連絡しますと言って引き下がればいいものを、吹っ掛けてきた喧嘩を買ってしまうんですよね。
そうなると店は立場が悪くなります。
とある洋食店をやっている知り合いの店で、アルバイトが盛り付け提供したサラダに絆創膏が入っていたとお客からクレームが入ったそうです。
確かにそのアルバイトは指を怪我していて絆創膏を貼っていましたが、指には絆創膏が無い。サラダを盛り付けている時に取れてしまったのでしょう。店長が謝罪へ向かった時は何とか大丈夫そうだと感じたそうです。
しかし、アルバイトに謝罪するようお客の元へ向かわせると、お客が激怒したそうです。なんでも、アルバイトにちょっと説教したら、「新しいの持ってくるのでそれでいいでしょう」的な感じでちょっと逆キレだったと。そうなったらもうおしまい。ピーポーピーポー。
最後に
飲食店アルバイトによるトラブルをいくつかご紹介させて頂きましたが、本当はアルバイトをメインに持って来ている今の飲食業界が一番の悪と言う事をもう一度考えなければならないのではないでしょうか?
飲食店は安いが当たり前となってしまった現在、飲食店で働くのではなく飲食店を経営する事でしか儲かる事が出来なくなってしまいました。このままだと本当に飲食店はいずれ自動化。ロボットに置き換わる時代もすぐそこなのかもしれません。
それはなんか悲しいですよね。。。