【経営者は鉄の心臓】飲食店社員がブラックになる理由を解説!

ブラック企業の代名詞『飲食業』

薄利多売による利益の少なさ、天気や時期による集客の不安定さ、どんな状況でも人員を配置しなければ営業出来ない人件費コスト、営業している時間のみ売り上げが発生する為、長くなる営業時間、そして安さ安さの価格競争による職場環境の悪化。

飲食業がブラック企業になるのはもはや必然とも言えます。しかし、それでも飲食の世界へと足を踏み入れる人は多いです。コロナ過の今であっても・・・

ただ、大きく飲食業と言っても、経営者と従業員では180度違うというのは頭に入れないといけません。従業員はブラックでも、経営陣はホワイトなんてのは飲食店ではよくある話ですから・・・

経営陣と従業員のお金の話

まず、これから飲食業界へと進む方へ向けて一番知りたいと思われるお金の話をしたいと思います。

自分がオーナー店長の話は別として、個人店、チェーン店に雇われる場合はっきり言って、ホール担当だろうがキッチン担当だろうが、店長だろうが店舗従業員は給料が安いです。というのも飲食店というのは、店舗の大きさ(席数)は毎年変わらない為、毎年売り上げが右肩上がりなんてのは、客単価、回転率の見直しが無い限りありえません。チェーン店で売り上げが伸びているなんてニュースを見ると思いますが、それは店舗数が増えているだけであって、一つの店舗が売り上げを伸ばしている訳ではないのです。

つまり店舗で何年勤めようが、自分の給料がどんどん上がっていくというのは、店からすれば厳しい訳です。(飲食店がブラックになる理由はここあります。核心は後ほど)

逆に経営者はどうでしょうか?

単純に考えてみます。一店舗運営で、売り上げから人件費を含めた全ての費用を引いて、30万円残ったとします。店舗で働く事なく月に30万円です。二店舗で60万、三店舗で90万です。

私の知り合いは小さな店を三店舗やっていますが、月収で120万円です。飲食業は経営側に回って初めて夢がある商売となるのです。

もちろん水商売、、、毎月がそんな上手くいくというのは大変な事ですけどね。

飲食店従業員は何故、ブラックなのか?

従業員とは違い、経営者は店舗が増えると自分の収入が増えます。

中には、スピード出店して一気に稼いでドロンなんて経営者もいます。自分さえ良ければいい、従業員の事なんて考えていないなんて経営者も少なくありません。

店舗に要求するのは、売り上げアップ、集客アップ、そして徹底的なコスト削減。人件費(アルバイト)をギリギリまで削れ、そして生まれるワンオペ・・・

従業員が家族というなら、負担が少なくなるように人員を増やすはずですが、人件費を目の敵にする経営者は多いのです。

そこで、重要なのが長期勤務者です。会社に貢献しているようで、実は困った存在でもあるのはこれまでの話で分かってきたとは思いますが、人件費を出来るだけ削り利益を出したいのに、給料の高い従業員は経営者として困るのです。

多くの飲食店が店のシステム、料理を誰でも出来るようオペレーションを確立しているのは、ある程度したら羽ばたいて欲しいという経営者の気持ちの表れ、辛い勤務体制による従業員の悲痛な声に耳を貸さないのも、自己都合で辞めてもらえば安い人材を補充すれば利益が上がる。それだけなのです。

飲食業がブラック企業だと言われるようになってかなりの時間が経ちましたが、今の時代になっても変わらない労働環境。資格や経験が必要のない業界だけに多くの人が飲食業へと入っては苦しんでいる。飲食業も大きな改革を起こす時なのかもしれませんね。

飲食業界へと進む方へのアドバイス

飲食業界に進むなら、自分の店を持つなどの目標が無い限り安易に進むべきではありません。

店舗の従業員で一生過ごそうなんて、そんな飲食は甘いものではないです。3年で70%の飲食店が潰れるというのに、どんな大手に入ろうと飲食に安泰はありません。

そして複数の飲食店を持つ、経営者になりたいと考えている方。飲食店経営者というのは並みの心臓では勤まりません。私も多くの飲食店経営者に会ってきましたが、とてもその考え方は自分には出来ないと感じる事が多かったからです。

ある経営者は自分の店の売り上げが下がり、このままじゃ潰れるという状況に陥りました。普通なら従業員と共に売り上げが上がるよう努力すると思うんです。ですが、その経営者は違いました。さくっと閉店して、業態も店名も変え従業員も一新、新しい店を新規オープンしたのです。

正直、飲食店の経営者というのは、ここまで従業員を駒としか見ていないのかと感じました。なんせ従業員は閉店の前日まで閉店の事実を聞かされてなかったんですから・・・

最後になりますが、飲食業というのは時間的にも体力的にも辛い業種です。でもその中にも楽しい事や、やりがいはもちろんあります。そして、従業員の事を第一に考えている店ももちろんあります。これから飲食業界へと進む方々が、素敵な店と出会える事を祈っています。