意外に知られていない事かも知れませんが、日本で起きる食中毒は年間約二万人。そしてその半数以上が飲食店で起きています。
もちろん実際、病院にかかり事実が公になった件数ですので実際の数字はこれ以上になる訳ですが、食のプロである飲食店が何故こんなにも食中毒、酷い時には死亡事故まで起こしてしまうのでしょうか?
今回は飲食店の衛生面における裏話をお話しましょう。
色んなお客が来店する飲食店
飲食店には毎日様々なお客が来店します。衛生的な方からそうでない方、元気な方から体調のすぐれない方まで、それを来るもの拒まずどんなお客もご来店下さいの精神で営業してる訳ですから飲食店存続の危機とも言われる集団食中毒を起こしてしまうです。
分かりやすい例で言うと、風邪を引いてて病み上がりで飲み会に参加して生牡蠣を食べる。正直な話、体調がすぐれない、免疫力が落ちている時の生食はある意味テロ行為です。はっきり言って店側で菌をゼロにする事は出来ません(100㌫中まで加熱するなどしない限り)ですのでお客との信頼関係で生食やレアな食材は提供している訳です。
しかし食中毒が出てしまえば店は営業停止。1ヵ月のうち3日、4日休んだら赤字になるような飲食店も多い中で食中毒というのは飲食店がいつも不安に思っている事なのです。
プロ・素人
さてここから裏話です。
どんな高級店でも、生の食材を扱えば食中毒の危険は伴います。しかし、高級店と呼ばれるお店は料理人、食材とお金を掛けています。料理人の知識と経験はお店にとって宝です。経験のある料理人には食材の知識、食中毒の知識があります。これにより最大限に食の安全をキープする事が出来るのです。
では安い飲食店はどうでしょう?
安い飲食店は安さを実現する為に、店舗運営をアルバイトに任せる事で利益を確保しています。誰でも作れるよう料理もマニュアル化し、簡単に提供出来るようにしているのです。しかし、所詮アルバイトです。覚悟も責任もないアルバイトが本当に食の安全を考え行動しているでしょうか?
少し前ですが、バカッターなんて言葉が出ましたよね。アルバイト店員の悪ふざけがネットに流れ店舗の休業に発展した事案がありましたが、そんなものは昔からある事。トイレ行ってそのまま刺身を切っているアルバイト、気に食わない客の料理を手づかみで盛り付けるアルバイト、もちろんアルバイト全てが悪いと言っている訳ではありません。中には本当に良くやっているアルバイトもいますが、正直アルバイト運営をするという事はそのリスクも覚悟しなければならないという事です。
対策は???
アルバイトの行動に対策を取るのは本当に大変な事です。社員を投入してと言っても社員を増やせば人件費がかかる為、今の安さ安さで利益を上げる飲食ビジネスでは成り立ちません。
そこで大手は何をしているか?
食材に関しては中で調理をなるべくさせないという事、手袋を付け作業をさせるという事、食材を洗剤で洗う(一般の人が聞いたらびっくりするでしょうが)などなど、本当にアルバイトが実行しているかどうかは別として食中毒に対するマニュアルもちゃんと作っています(チェーン店ともなると調理場に日本人がいない場合もある為、日本語が読めず全て写真で解説している所もあります)
そして極めつけは監視カメラ。もうそこまでしないといけないんか?という感じですが、お客側ではなく身内を監視するのが飲食店七不思議のひとつ。
レジの上にもカメラ。多くの飲食店が付けていますが、あれは決して防犯の為ではありません。従業員の不正を監視する為です。飲食店での金銭トラブルのほとんどがレジから金が盗まれるという身内の犯罪なのです。
未来へ
もうそこまでしなければならないのなら、全て自動で、ロボットでなんて時代もそう遠くないのかもしれません。今の飲食店のビジネスモデルを考えると、アルバイトに任せる安飲食店か、プロに任せる高級店しかありえませんから。でも私は、人が口にいれる飲食という職は人間が手でやってこそだと思うのです。
しかし、現在の安さを追求する飲食店の乱立、そしてそれを求める消費者の流れを見ていると、飲食業というのは機械による自動化へと進んでいくような気がしてなんだか寂しいですね。