以前、東京の新宿でとあるボッタクリ居酒屋が話題になったのを覚えているでしょうか?
ニュースやSNSであっという間に拡散された事によりお店はその後閉店となりましたが、この手のグループはお店が閉店する事は正直想定内だったと私は思います。
というのも、以前「飲食店の開店」でもお話しましたが、飲食店を出店するのに飲食店の経験は必要ありません。
普通、飲食店の経験があればそんな事をすればお店が潰れるのは簡単に想像がつきますし、お店が無くなれば従業員の生活、膨大な初期投資、全てがダメになってしまいます。
じゃぁ何故、今もなおボッタクリ居酒屋が後を絶たないのでしょうか?
飲食店は実は儲かる!
飲食店は薄利多売。水商売という事もあり、天気にも左右されますし安定した売り上げも見込めない、そして売り上げのほとんどは経費、、利益で残るのはほんの僅か。そんなイメージをお持ちの方も多いでしょう。
でもその通りです。飲食店は儲かりません。普通は。
しかし、原価率を極限まで下げて満席率を極限まで上げれば飲食店でも考えられない利益を上げる事が出来るんです。
広告費と人件費に目を瞑り、ただひたすらに集客する事に特化する。こんな飲食店の形は飲食店経験者では思いつかないです。正直。
でもこのスキームで大儲けしている飲食店が全国にいくつもあるんですから、商売というものは難しいものですね。
キャッチ
この手の飲食店は、席数が多いです。その多い席数にとにかく客を詰め込む。味、満足度なんて関係ありません。
集客の為にキャッチと呼ばれる部隊を使うのも特徴です。今ではキャッチは禁止のような看板も見かけますが、はっきり言って形だけの気もします。普通に交番から見えるところでキャッチしてる光景もありますしね。
そして実はこのキャッチ、お店の従業員かと思われがちですが、実際はお店とは関係が無い場合がほとんどです。
従業員をキャッチに出すと、サボる人間もいるでしょうし、成果が出ないと人件費の無駄になる。そして警察のやっかいになってしまうとお店的にも辛い訳です。その点キャッチの業者に頼めばキャッチはお店に一人連れていくごとにいくらと取り決めが最初にされているので、必死に客を連れてきます。サボる暇などないんです。連れて行けばいくだけお金が貰えるんですから。
だからその店がどんな店かキャッチは興味も無けりゃ知りもしません。「飲み放題いくらにしますよ」なんて得意のトークでただ客を連れていくだけ。
お店は原価率激低のメニューと有り余る席数で待ち構えていますから、客が入ればそれだけで儲かります、キャッチに払うお金なんて痛くも痒くもないのです。見事な連携が取れてる訳ですね。
複数の店名
ちょっと前に昼と夜で違う店になる二毛作なる飲食店は話題になりましたが、それとは違って集客の為に店名を複数取っている飲食店が最近増えています。
そんな事をして意味あるの?なんて思うでしょうが、これがまた良く考えられているんですよね。
今の集客はほぼネットが主流。「食べログ」「ぐるなび」「Hot Pepper」など様々な飲食店ポータルサイトが存在し、その中でライバル店と露出を競って集客しているのです。
そこで、、もし、グルメサイトに複数の名前で掲載したら?
片方の名前の店では宴会をウリに、もう片方では女子会をウリになんて使い方をすれば、、集客は倍以上の効果を得られる事になります。
もちろん広告費は二倍掛かりますが、集客出来ればしっかり儲かる形になってますからその辺は問題ないのでしょうね。
でも、サイトも詐欺まがいの事に協力してるのいいんですかね~。金さえ貰えば何でもありって事なのでしょうか・・・
ただ一つ気になるのが、初めて行く店だ~って楽しみにしてた客が、あれ、、こここないだ来たぞってなるのはどうなのかな?と個人的には思いますが。。。
最後に
キャッチを雇ってるから、広告費をかけまくってるから、全てがボッタクリ居酒屋と決めつけてる訳ではないですが、そのコストを考えるといい店ではないだろうな。と思ってしまうのが飲食店経験者の本音です。
こういったお店が露出するのも、今のネット社会ならではなのかもしれませんが、ただ、本当にお客さんの為にギリギリの原価で良い物を提供しているお店が埋もれてしまうのは悲しいものだなとも思うんですよね。